8      とら君の幼稚園選びの失敗 3
 
とら君の M幼稚園での第一日目は 担任の ベテランH先生の あたたかく穏やかな笑顔で始まりました。
とら君も H先生に手をとられて おとなしく教室に入って 行きましたし お迎えに行ったときも H先生がにこにこしながら 「お友達と 一緒に過ごせましたよ」 と おっしゃったので 私のとりこし苦労だったかと ほっとしました。
 
ところが 帰宅後 園長より電話があり
「とら君を H先生のクラスからS先生のクラスに かえることにしました。」 と告げられました。
理由を尋ねると 「S先生のほうが とら君に ふさわしいので」 ということでした。
 
でも 翌日 お会いしたS先生は 正直言って 印象はよくありませんでした。
お若いというのはともかく 能面のような
無表情で 私と目を合わせようとはなさいません。
私が とら君の 様子をあれこれお話して
「なにとぞ お願いします」 と言っても 
「何事も 園長と相談して お答えします」
との お返事でした。
 
M幼稚園は 父母と担任の先生が 親しくなるのを好まれないようでした。
朝 子供を送っていくのは 園の門まで そこに 園長が立っていて 子供たちを 笑顔で迎えます。
一見 ほほえましい風景。
ところが 担任の先生とお話したいと思い 父母も園に入ろうとすると 園長にとめられます。
「無遠慮に園に出入りされると 子供たちによくありませんから」 ということでしたが。
 
帰りは 帰りで 園まで迎えに行きません。
地区ごとのお迎え場所が決まっていて そこまで 園の先生がおくってくるのですが おくってくるのは 担任の先生とは決まっていません。
うちは たまたま おくってくる係りの 先生の一人が S先生だったので とら君の 園での様子をお聞きするのですが いつも
答えは 「園長から ご連絡します」 でした。
 
M幼稚園は 連絡帳というものもありませんでした。
先生がたは 勉強会等に忙しく 連絡帳を書いてる暇がないということでしたが。
それでも 私は とら君が 心配でしたので
強引に連絡帳を作ってもらいました。
でも 返事を書くのはいつも 園長でした。
 
だけど これは 別に うちだけが こういうことをされたわけではありません。
月に一度くらい 学習相談会と言って
みんなで園長の講演をきき その後学級で 担任の先生と 母たちで色々話をするということがありました。
 
で あるとき 学級懇談会で ひとりのおかあさんが S先生に質問しました。
「この園は 子供の個性を尊重するということですが もし 先生が 子供に 真っ直ぐな線を引きなさいと 指示し 子供が曲がった線を引いたら 先生は どう ご指導されますか」
私を はじめ 他のお母さんたちも これは
いい質問だと S先生の答えを待ちました。
そして S先生の答えは 「園長に きいておきます」 でした。
 
そう 園長。
この園長は 月に一度 みんなの前で
子育てについて 講演をするのですが
ある時 どんな話の流れからか こんなことを言いました。
「うちの園には しょうがい児ふたり生んだ人がいます。ひとり目がおかしいんだから ふたりめ作らなきゃいいのに 子供作るだけは ケ○○○と同じで 一人前だからふたりめ 作ったら ふたりめも しょうがい児で 今 とっても 苦労しているのですよ」
 
これを 聞いたときの 私の気持ちは……
まぁ 私の人生  私の価値観 私の 人間関係 その他もろもろを 覆すものでした。
 
ここまで 言われながら なぜ M幼稚園をやめなかったか…
とら君の 問題行動が 顕著になればなるほど ここを追い出されたら 行くところがなくなってしまう と 私は とても卑屈な気持ちになっていたのです。
 
今ですか?
今だったら 行く先なければ どんな手段使ってでも 行く先作って おん出ますよ。
 
                  2002.09.08
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
更新日時:
2002/09/28
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Last updated: 05/05/07

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