とら君とみけ君は 1歳10ヶ月違いです。
とら君が ひとりで歩き出したのが とら君が
1歳6ヶ月ですから みけ君を妊娠した大きなおなかに とら君を乗っけるようにして 抱っこしていました。
だから おなかの中のみけ君は 「僕が 生まれ出ようとする世界には なにやらライバルがいるらしい」と 思っていたのではないかと思います。
みけ君は 「漏斗胸」だと 言われていました。1歳過ぎに誤診だとわかりますが みけ君は たんが胸に詰まって苦しくて泣いてばかりいました。
とら君が 手のかからないおとなしい赤ちゃんだったのとは 対照的でした。
おんぶすると みけ君は 泣きやむので 私は 一日中みけ君をおんぶしていたように思います。
だから 「自閉症」は 親のスキンシップ不足が原因と言われると それは違います
と言いたいです。
私の好きな みけ君の写真。
ヘビーベットに寝たあかちゃんのみけ君が
天井からつるしたメリーが回るのを じっと見ながら 足をばたばたさせているのです。
「自閉」と言う言葉をきいた時 この写真が思い出され ちゃんと外界の動きや音に反応していたのに…と思いました。
今は 「自閉症」だから 回るものが好きだったのかな とも思います。
私は 専門家ではないので なんとも言えませんが…
上に おなかの中のみけ君にとって とら君をライバルだと思ったのでは と書きました。
でも 生まれてきたみけ君にとって とら君は あかちゃんの頃から お手本だったようです。
「自閉症について」にも 書きましたが みけ君は 人のまねをする力が とてもあります。
みけ君も つたい歩きまでは 育児書どおりでした。
そして つたい歩きをしているみけ君のそばを とら君がすたすた歩いて通ると それを見たみけ君は とら君みたいに歩こうと ぱっと手を離します。
どしん しりもち。
こんなことを繰り返していましたから みけ君の一人歩きは 1歳ちょうどと とら君に比べて ずっと早かったです。
みけ君が あかちゃんの頃 なじみの保健婦さんが みけ君をじっと見て 謎のようなことを 言いました。
「この子は 大丈夫。この子は 大丈夫だから 大切に育ててあげなさい」
私は 胸の中に 墨を流し込まれたような気持ちでした。
保健婦さんは とら君のしょうがいに うすうす気がついていたのかもしれません。
「どういう意味ですか?」と 聞き返さなかった 私も とら君のしょうがいを 感じていたのかもしれません。
でも…みけ君も しょうがい児でしたけどね。
それに しょうがい児じゃない方を大切に大きくしなさいという考え方は 私は 好きではありません。
今も みけ君は とら君がお手本みたいです。緊張する場面になると とら君のまねばかりします。
とら君のことを 尊敬しているのかもしれません。
そういう 兄弟としての想いは大切にしてあげたいです。
だから 将来 兄弟が お互い会うこともできない 別々の場所に住むというのは 親として悲しいです。
かと 言って 自分に置き換えた場合 いくら好きで 尊敬している相手でも24時間一緒と言うのは 苦痛でしょう。
昼は 別々の活動の場 夜は同じ場所に帰って 一緒にご飯を食べたりする 将来 そんな生活をさせてあげられたら と思っているのです。
2002.07.12
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