Last updated: 07/06/18


16    「エリカ 奇跡のいのち」 ルース・バンダー・ジー/文 ロベルト・インノチェンティ/絵 柳田邦男/訳 講談社
H17年2月18日(金)
 
こねこたちに 「しょうがい」があると わかった時から
ずうっと わたしの 心の隅を離れない言葉に
「親子心中」が あります。
 
勿論 わたしは それが どれほど
エゴイスティックで 愚かな行為か
理解しているつもりです。
 
こねこたちの 命も 人生も
こねこたちのものです。
 
例え 母親であったとしても
それを 奪う権利など 絶対に ありません。
 
だから わたしは どんなにつらくても
こねこたちと一緒に 生きていこうと 思いました。
 
生きてきました。
 
でも…
 
親亡き後
頼れる親族のいない こねこたちの境遇を 想い
 
また しょうがいをもった人たちが
虐待をうけたり
金銭を搾取されたり
果ては 命までも 奪われたという
ニュース等を 見聞きするたび
わたしの 心は 哀しみと恐怖で 震えます。
 
こんな 恐ろしい世界へ
わたしは こねこたちを
遺していけるだろうか?
 
それならば いっそのこと…
 
 
そして わたしは 一冊の絵本と 出会いました。
 
「エリカ 奇跡のいのち」
ルース・バンダー・ジー/文
ロベルト・インノチェンティ/絵
柳田邦男/訳 
講談社
 
 
エリカは 1944年生まれです。
でも 誕生日も 生まれた場所も
両親の顔や名前も
自分が 生まれたとき
つけてもらった名前も
何も知りません。
 
エリカは ユダヤ人なのです。
エリカが 生後2〜3ヶ月のとき
エリカたち家族は
他のユダヤ人たちと共に
狭い貨物列車に押し込められ
強制収容所へ 送られたのです。
 
エリカの両親は
列車が 強制収容所の門を
通り抜けたら最後
そこに待っているのは
「死」だと 悟ったようです。
 
そして 列車が
ある村にさしかかり
スピードを 落としたとき
エリカの母は
しっかりと毛布に包んだ
赤ん坊のエリカを
貨車の小さな窓から
外へ 放り投げたのです。
 
それは まさに賭けだった
と思います。
走っている列車から
赤ん坊を放り出したら
地面にたたきつけられて
死んでしまうことも 多いに考えられます。
 
でも エリカの母は
可能性に 賭けたのです。
ほんのちっぽけな可能性でも
エリカが 生き残れるようにと。
 
そして エリカは
線路脇の草むらに落ち
村人に拾われ
 
村の親切な女性に引き取られ
エリカという名前をつけられ
成長するのです。
 
エリカの母の
必死の賭けは
エリカの命を救いました。
 
この絵本は
エリカの回想という形で
描かれています。
 
あるいは 赤ん坊だった
エリカが その当時のことを
覚えているわけはないので
エリカの 想像といったほうが
いいでしょうか…
 
強制収容所に送られる
両親の想いや
エリカとの 別れを
嘆き悲しみ惜しむ
両親の気持ちを
エリカが 想像し
綴った文章は
涙無くしては 読めません。
 
特に わたしが
声をあげて 
泣いてしまったのは
この一文でした。
 
「お母さまは、じぶんは『死』にむかいながら、
わたしを『生』にむかってなげたのです。」
 
 
わたしは わたしにも
エリカの母のような
勇気と強さと
真の愛の深さが
欲しいと思います。
 
自分が 死に旅立つ日が来たとき
この世界にこねこたちを遺していく
不安と恐怖に打ち勝って
こねこたちを 『生』にむかって
思いっきり 投げられる
自分で ありたいです。
 
エリカの母が
エリカを 毛布でしっかり包んだように
わたしも こねこたちが
少しでも 生きやすいように
いろんなことを こねこたち自身にも
身につけさせ
また 周囲の人たちの理解や援助を
求めていきたいです。
 
そのために
わたしは 今日を 明日を
生きて行こうと思います。
 
 
それと…
エリカを 育ててくれた
女性のことをも
考えずには いられません。
 
あの時代に
ユダヤ人の子どもを匿い
育てるということは
まさに 命がけのことでした。
 
でも エリカは
その女性の
勇気と優しさのおかげでもまた
生きることができたのです。
 
どうか どうか
こねこたちも
そんな 人との出会いが
少しでも 多くありますように。
 
どうか どうか どうか
ありますように…
ありますように…
ありますように…
 
これは わたしの 必死の 祈りです。
 
 
 
 
 
 



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