わたしほんがよめるの (絵本)
 
こどもたちが小さいころ 本当にたくさんの
絵本の読み聞かせをしました。
そのころ こどもたちが好んだ絵本は
絵がシンプルで 具体的な内容のもので 
やはりストーリーが複雑で 想像力が必要とされるものはあまり好きではなかったようでした。
このブルーナの「わたしほんがよめるの」という絵本は そういう意味で うちの子供たちの好きな絵本のひとつでしたが 私はこの絵本を ちょっとかわった使い方をしていました。
 
この絵本の中で 主人公の女の子は自分の口や鼻を指差して 「これは わたしのくち」
「これは わたしのはな」と言います。
私は こどもたちにこの絵本を見せながら文章を読んだあと こどもたちの口や鼻を人差し指で押さえて
「これは とら君の口」「これは みけ君の
鼻」というように言いました。
これを何度も繰り返すうちに 私が絵本の文章を読んだだけで こどもたちは 自分の口や鼻を自分の指で押さえるようになりました。
 
さらに この絵本には 「わたしのおじいちゃん おばあちゃん」「わたしのおにいさん」という文章も出てきます。
これは うちのこどもたちにとって 口や鼻より数段理解することが難しいことだと思われました。
ですが これも 本の文章を読んだあと
「とら君のおじいちゃん おばあちゃんは
○○(地名)に住んでいます」
また とら君には みけ君を指差して
「みけ君は とら君の弟」 みけ君には
とら君を指差して「とら君は みけ君のおにいちゃん」と 教えました。
 
うちのこどもたちは この方法で自分の体の部分の名前や おじいちゃん おばあちゃん おにいちゃん 弟ということばを覚えたようです。
もちろん おにいちゃんというのは 同じ両親から産まれた…みたいな 概念は無理だと思いますが ことばは覚えたと思います。
 
絵本を こういう使い方をするのはいけないのかもしれません。
今は 絵カードなどもあるでしょう。
ただ 当時 ただひたすらこどもたちへ
ことばかけをしなさいと言われ 途方にくれていた私は 何もなしに 面とこどもたちに向かい合って 「これが あなたの口よ」と教えることが 難しかったのです。
そういう意味で この本は 私がこどもたちに ことばを教え 心を通い合わせるための 良きツールだったと思い ここに ご紹介してみました。
 
「わたしほんがよめるの」
ディック・ブルーナ/松岡享子
福音館書店
更新日時:
2002/10/16

BACK INDEX NEXT



Last updated: 07/12/02

mieneko@myad.jpメールはこちらまで。