先日 雑誌を読んでいたら 「この頃 テレビでは 『法律相談』の 番組が大流行。
日常生活のちょっとしたトラブルでも これは
法律に照らし合わせれば…なんてしている。
でも 例えば 子どもがご近所に迷惑をかけてしまったときなど いきなり法律論では
かえって問題をこじらせるばかり。まずは 菓子折りでも持って 誠意を込めてお詫びしましょう」 と 書かれていました。
私も そうそうとうなずきながら読みました。
私も 悪いことをしたなと思ったときは 心をこめてお詫びをしました。
「誠意を尽くせば わかっていただける」 と
信じていました。
でも いろんなことを経験して 世の中には
どんなに誠意を尽くして話しても 通じない人がいるということを知りました。
また どう考えても うちの子たちは 何も悪いことをしていないと思えるのに ご近所の機嫌を損ねないために 子どもがしてもいないことを 「しました」と言って 菓子折りを持って お詫びに行くわけにもいきません。
私が 子どもたちを育てていく最中に 遭遇したいくつかのケースは もう何年もたった今でも どうしたらよかったのか これから同じようなケースになったとき どうすればいいのか 見当もつかないことなのです。
2002/04/26 「ねこのあしあと」 より
(前略)
こんな菓子折りですが 不愉快な思い出ふたつ。
なぜか両方とも みけ君ではなく とら君にまつわる話なのですが。
一つは 引っ越した翌日 とら君が 社宅の3件隣のアパートの前で遊んでいたらしいのです。
で それを見た井戸端会議をしていたアパートのおばちゃんたちが「見慣れない子ねぇ。ぼく お名前は?」
とら君は 答えません。
様子もどこかおかしい。
とら君の靴には 名字が書いてあったのですが 引っ越してきたばっかりでみんな知らない。
「迷子かもしれないねぇ」と言ってるうちに 遊びあきたとら君が 家に帰ろうと歩き出したのです。
おばちゃんたちは 「大変だわ。 また 行方不明になっちゃう」と 5.6人でとら君を追いかけて 取り囲みました。
さすがのとら君も びっくりして 大声をあげました。
その声を ベランダにいた私が聞きつけて 道路を見たらとら君が 大勢に取り囲まれています。驚いた私が 飛んでいって 事情を聞いて
「そうでしたか。 それは すみませんでした。ありがとうございました」
と丁寧に頭を下げて 一件落着…のつもりだったんです 私は。
ところが 数ヵ月後同じ社宅の奥さんがやって来て「あの アパートの人 あなたのこと『恩知らず』だって 怒ってるわよ。 子供が 迷惑かけたのに菓子折り一つ持ってこないって」
かっとなった私は「今から 菓子折り持って挨拶行ってくるっ」と言っておとうちゃんから
「数ヶ月も前のことを いまさら行ったらかえって変だ」と とめられる始末。
まぁ その社宅の奥さんも問題児(?)で あっちこっちで 騒動起こして喜んでるような人だったから。
のちにとら君が 幼稚園のクリスマス会に出してもらえなかったとき「とら君が かわいそう」って私の前では涙を流したのに 別の人には「出場させなかった園長先生のご判断は正しいと思うわ」と言った人だから。
しかし それをまた私に報告に来る人も来る人で…
集合住宅の社宅なんて 入るもんじゃありません。
もう一つは「とら君の自転車泥棒疑惑」
「恩知らず」とは 別のアパートの小学生の男子の自転車がなくなったのですって。
それで なぜかとら君に疑いがかかって その男子のおかあさんが うちまで聞きに来られたから 「うちのとら君は 自転車乗れないのですよ」と言って それで疑いは晴れたと思ったのね。
ところが その男子の双子の妹 5歳くらいかな が 私に会うたび「おばちゃん にいちゃん 自転車とられて泣いてるのよ。お願いだから かえしてあげて」
そっ そんなこと言われても…
で 5歳児にわかりやすく「あのね とら君は自転車乗れないの。だから 自転車もとっていないの」
うなずいて去っていくので やれやれと思ったら 次の日(待ち伏せしてるの?)また まったく同じせりふ。もう 私 切れそう。
そして ついにその男子本人がやってきました。
10年たって思えば(て ことは10年前のことかぁ。アタシもつくづく執念深い女よのぅ)
小学生の子が直接乗り込んでくるのは それなりに思いつめていたのでしょうけど 私は完全に切れました。
「とっていないといったら とっていません。疑うなら 物置でも押入れでも調べてよ」
はい 彼も 物置 2DKの部屋 押入れ 全部調べていきましたわ。
あ〜 これで ようやく納得してくれたと思っていたら 次の日また双子たちが
「お願いだから かえしてあげて」
なんなのよぉ。いったい。
母親が 寝物語にでも 言い聞かせてるのか?
その母親は それまでは会えば笑顔で挨拶するくらいだったのに まだとら君を疑っているのかそれとも息子に対する私の仕打ちが気に入らなかったのか 顔をこわばらせて目をそむけて小走りに走り去っていく。
どうすりゃいいの。
そりゃ私は「菓子折りのみいねこ」だけど やってもいないことを 菓子折り持って謝りに行くわけにはいかないでしょう。
それは とら君の名誉のためにできません。
冤罪って言葉があるけど 警察云々もでしょうけど 疑われるだけでこんなに辛い…
「したことの証拠は出せるけど しなかった証拠は出せない」と言いますし ましてや
とら君とみけ君は 自分たちで 事情を説明したり弁明したりできません。
私にできることは 他人に疑われるような行動をとらないように教えること 地域の人に子供たちを理解してもらうこと そしてあとは こんなことがおきないよう祈るだけです。
(後略)
2002/05/21 「ねこのあしあと」より
(前略)
以前に書いた「自転車泥棒疑惑」と同時期 社宅の3階に住んでいたのですが 2階の人から 子供の足音がうるさいと 言われっぱなしでした。
うちの子たちは 高いところから飛び降りたりはしませんが パニックを起こすと地団太踏みます。
抱き上げようとしても 抱かれるのが嫌ですから 大暴れです。
2階の人には 申し訳ないと 会うたびに謝り もちろん菓子折りだって何回も持っていきました。
でも うちもあまりにつらいので 規則違反でしたが 総務に無理に頼んで 1階の部屋にかえてもらいました。
それで 「今までどうもすみませんでした。今度1階に引っ越しますから」とあいさつに行ったときに言われたのです。
「お宅の子供の足音で 天井にひびが入ったから 修理費払ってちょうだい」
驚いた私が「確かにうるさかったと思いますが ひびと言うのは普通ないんじゃないですか」
そしたら その奥さん「お宅の子供たちは普通じゃないから 普通じゃないこともおきる」
私は 黙って背を向けてその場を去りました。
それから いろんな人にこの話しをしました。
みんな「子供の足音で ひびなんて考えられない」と言います。
総務は「100歩譲って 生活に支障の出るようなひびがあるなら 社宅なんだから総務で修理します」
一人だけ別な意見が お姑さんでした。
「そういう人は お金が欲しいんだから 払ってあげて丸く治めなさい」なるほど それが「大人の処世術」ですか。
でも 私は「永遠の子供」
第一 お金を払うと言うことは うちの子供たちの非を認めることでしょう。
そんなことは 子供たちの名誉のためにできません。
自閉症だろうが 障がい児だろうが「名誉」はあります。
親が それを守ってあげなくて 誰が守ってあげるんでしょうか。
(後略)
これらの出来事は いまだに 私の心の
「とげ」です。
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