能力のばらつき
私は しょうがいについて専門的に勉強したことはありません。
だから これは 「自閉症」という診断名のついたふたりの息子たちを育てていての母としての感想ですが。
 
自閉症児を育てていて 親がつらいと思うことの原因のなかに 「能力のばらつき」があるのではないかと思います。
 
ひとつは 自閉症の子同士を比べたとき 同じ自閉症なのに あの子はあんなこともできるこんなこともできると つい比較してしまうことがあるように思えます。
 
もうひとつは その子本人の 能力のばらつきです。
ある部分では高い能力を示すのに 他の部分の能力は低いということです。
例えば こんなに 達者におしゃべりができるのに なぜ 人との会話 コミニュケーションができないのかというようなことです。
 
私自身 これからことには ずいぶん悩みました。
同じ知的しょうがいを伴う自閉症の子を
育てていても上の子に通用した方法が 下の子には通用しないということは ままありましたから。
これに 私は どう気持ちに折り合いをつけたかというと やはり 「その子はその子」と 割り切るしかなかったです。
そして 子どもたち一人一人を できるだけ冷静に分析し 「この子の得意なことは
これ。苦手なことはこれ。」と 把握し 得意なことを伸ばすにはどうしたらいいのか。
苦手なことは どういう方法あるいはツールでフォローしてあげたらいいのかと考えるようにしました。
そうすることによって 私自身とても楽になったような気がします。
更新日時:
2003.03.18 Tue.

字の覚え方・読み
これも 私の経験や療育先でのご指導やのちに自閉症について
学んだことをあわせて 考えることなのですが。
 
よく 世間では字の読み書きという言い方をしますが うちの子どもたちの場合は 字を読めるようになるということと 書けるようになるということは 別のことであるように思えました。
 
そして ふたりとも 書けるようになるより 読めるようになるほうが早かったです。
 
今回は 読むということについて。
字の読み方を教えるとき 私はどうしても ひらがなが最初と思い込んでいました。
それも 最初は 「あいうえお」の順に教えようとしました。
 
でも 子どもたちは 字を読めるようになりません。
そのうち とら君は 数字を覚えました。
当時車に興味があったので 「NISSAN」とか「TOYOTA」とかの文字を指差して 「にっさん」「とよた」とか言い出しました。
絵本を 読み聞かせると その字を覚えたりするようでもありましたが その絵本の内容を 途切れなく朗々と しゃべるのは むしろ 「生きた字」 「生きた言葉」とは 思えませんでした。
 
みけ君は 3歳くらいの頃は とても落ち着きがなくて 絵本に関心を むけさせるのも 難しかったです。
 
これは 私があとから学んだことからの想像なのですが 自閉症の子どもは意味のないことはしたがらないといいます。
私の感覚では 「あ」という字は ひらがなの一番最初の文字で 世間一般ひらがなから 覚えるものという意味があったのですが うちの子どもたちに私のそういう「常識」というか「思い込み」は 通用しなかったのでしょう。
 
また 自閉症の人は目から見た情報に 親和性があるといいますが そう思って
世の中を見渡したとき 目に飛び込んでくるのは 看板にしろ 乗り物の行き先にしろ ひらがなより漢字やカタカタの方が 多いのです。
 
ですから 私は 字を教えるのはまず ひらがなからという思い込みをやめて 漢字の読みから教えました。
電車のバスの行き先や駅のフォームの看板を指差して 「とうきょう」とかの読み方を教えました。
 
ですが 「とうきょう」という読み方と 「東京」という実物を結びつけるのは 私には
難しかったので 身近にあるもので 漢字も教えたいと思いました。
 
それで 書店に売っていた「漢字カード」を利用しました。
これは 片側に絵 片側に漢字が書いてあります。
 
このカードで まずりんごならりんごの絵を見せ それから カードを裏返して
「林檎」という漢字をみせ またもう一度 林檎の絵を見せる。
この方法で うちの子たちは ずいぶん 漢字が読めるようになり 文字を読むということが楽しくなったようでした。
 
しかし 「林檎」という読み方を覚えても この漢字を書くというのは かなり大変そうです。
やはり ひらがなも教えなくてはと思いました。
 
ですが 経験からいっても 「り」「ん」「ご」 という文字一個 一個を教えても 覚えられないとわかっていたので りんごの絵を
見せたり あるいは手で実際触らせたりして それから ひらがなで 「りんご」と書いたカードを見せました。
字1個 1個ではなく 単語の単位で覚えさせたのです。
 
この方法は うちの子どもたちにはあっていたようで ひらがなも読めるようになりました。
 
この読めるようになった文字を 今度は 書けるようにもっていくのには また何段階か工夫がいったのですが それは また 別に書かせていただきます。
 
更新日時:
2003.04.12 Sat.

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Last updated: 11/09/09

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