それでも あたしは 泣くだろう
 
最近 お金を使うたんびに
頭の中で
これは こねこたちのお給料の
何か月分になるんだろうって 
考えるように なっちまったんだ。
 
そんなゼイタクなものを買ったり 
食べたりしているわけじゃない。
 
例えば
ズボン1本買って 二千円。
床屋さん行って 三千円。
 
どちらも 生活するために 必要なお金。
 
でも 平均的月収が 
八千円だといわれている 
こねこたちにとっては 
ものすごく大きな負担。
 
 
あたしが そう言うとね。
みんな こう 言い返すんだ。
 
「仕方ないでしょう
 
そういう国 そういう時代
そして なにより 本人たちに 
能力がないのだから」
って。
 
あたしは 耳をふさいで 
物陰にしゃがんで 
大声で泣く。
 
こねこたちが 
人並みの生活をできるだけの 
能力とやらを 
与えてあげられなかった
自分を責めて 
あたしは 泣く。
 
 
昔は こねこたちが 
しょうがいを持っていることが 
つらくて泣いたこともあった。
 
しょうがいからくる問題行動が
つらくて 
泣いたこともあった。
 
「障害児の母」を見る
 世間の目に
泣いたこともある。
 
 
だけど 今は
それしきのことじゃ
あたしは もう泣かなくなった。
 
 
でも
こねこたちが 
いろんなことができないことで 
世間からの評価が低かったり。
 
生き方の 選択肢が とても 少なかったり。
 
買い物したり 
旅行に行ったり 
おいしいもの食べたり。
 
そんな 幸せを 
あきらめなきゃいけないんだ
と思うとき。
 
あたしは こねこたちが 
しょうがいを持って生まれてきたことへの 
申し訳なさに 大声を あげて泣く。
 
こねこたちの前では  
どんな理由であれ
絶対泣かないと決めたから。
 
こねこたちを愛しいと
想えば想うほど
笑顔の陰で 
あたしは 
「ごめんね。ごめんね。」
と 泣く。
 
 
あたしは これからも 泣きつづけるだろう。
 
 
 
 
更新日時:
2004/04/21

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Last updated: 07/06/19

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